第180条占有権の取得過去問 1
占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。
この条文の過去問 1問
Aが甲土地を所有し、その旨の登記がされている場合において、無権利者Bが甲土地上に乙建物を建て、占有補助者であるCと共に居住しているときは、Cを建物から退去させるためには、Aは、Cに対し、乙建物から退去して甲土地を明け渡すことを請求しなければならない。
建物の所有者の家族などの占有補助者は独立の占有を持たないので、土地の明渡しの相手方は建物の所有者になる。
解説
誤り。占有補助者であるCは独立の占有を有しないので、AがCに対して退去・明渡しを請求する必要はない。Aは、甲土地を占有するBに対して、乙建物を収去して甲土地を明け渡すよう請求すればよい。
【ひっかけ】実際に建物に住んでいる者を一人ずつ相手にしなければ退去させられないように思わせる作り方。占有補助者は、自分のために物を所持している者ではない。
【条文】民法180条「占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。」
【根拠】最高裁判所第一小法廷判決 昭和35年4月7日(民集14巻5号751頁)裁判要旨「他人の使用人として家屋に居住するにすぎない者に対しては、特段の事情のないかぎり、その不法占有を理由として家屋の明渡ならびに賃料相当の損害金の支払を請求することはできない。」
占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する(民法180条)。占有補助者は、他人の占有を補助して物を所持しているにすぎず、自己のために所持しているのではない。最高裁は、他人の使用人として家屋に居住するにすぎない者に対しては、特段の事情のない限り、不法占有を理由として家屋の明渡しを請求することはできないと判断している(最判昭和35年4月7日・民集14巻5号751頁)。甲土地を占有しているのは乙建物を所有するBであり、Aは、Bに対して乙建物を収去して甲土地を明け渡すよう請求すればよく、Cを相手方として退去を請求しなければならないわけではない。
【ポイント】占有を理由とする明渡請求の相手方は、独立の占有を有する者。占有補助者は相手方にならない。
【出典】最高裁判所第一小法廷判決 昭和35年4月7日(民集14巻5号751頁)裁判要旨 https://www.courts.go.jp/hanrei/53562/detail2/index.html






