第915条相続の承認又は放棄をすべき期間過去問 4
1相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
この条文の過去問 4問
相続の放棄をしようとする者は、相続の承認又は放棄をすべき期間内に、その旨を法務局又は地方法務局に申述しなければならない。
相続の放棄は、法務局ではなく家庭裁判所に申述する。
解説
誤り。相続の放棄の申述先は家庭裁判所であり、法務局又は地方法務局ではない。
【ひっかけ】申述先を取り替えた肢。期間内に申述するという部分は合っているので、申述先を読み流すと正しく見える。
【条文】民法938条「相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。」
【条文】民法915条「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」
相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない(938条)。申述は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内にする(915条1項本文)。肢は期間の部分は合っているが、申述先を法務局又は地方法務局としている点が条文と異なる。
【ポイント】手続の肢は、期間と窓口を別々に確かめる。相続の放棄の窓口は家庭裁判所。
共同相続人のうちの一人について相続の放棄又は承認をすべき期間が経過した場合であっても、他の相続人について相続の放棄又は承認をすべき期間が経過していないときは、当該共同相続人の全員が共同して限定承認をすることができる。
一人の期間が過ぎていても、ほかの相続人の期間内なら、全員が共同して限定承認できる。
解説
正しい。共同相続人の一人の期間が経過していても、他の相続人の期間内であれば、全員が共同して限定承認をすることができると解されている。
【ひっかけ】期間内に限定承認も放棄もしなかった相続人は単純承認をしたものとみなされる(921条2号)ので、全員での限定承認はもうできないように見える。
【条文】民法923条「相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。」
【条文】民法915条「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」
限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみすることができる(923条)。承認又は放棄をすべき期間は、各相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から、相続人ごとに進む(915条1項)。条文には、一人の期間が先に過ぎた場合の定めがない。裁判例は、他の相続人の期間が残っていれば、全員が共同して限定承認をすることができるとしている(東京地判昭和30年5月6日)。
【出典】東京地方裁判所 昭和30年5月6日判決(下民集6巻5号927頁)。裁判所の裁判例検索に収録が無いため、次の2つの解説で内容と出典を確認: https://www.kawai-sozoku.com/gentei/ / https://www.crear-ac.co.jp/shoshi/takuitsu_minpou/minpou_0923-00/
Bが自己のために相続の開始があったことを知った時から法定の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかった場合には、Bは、単純承認をしたものとみなされる。
熟慮期間内に限定承認も放棄もしなければ、単純承認をしたものとみなされる。
解説
正しい。相続人が熟慮期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされる。
【条文】民法921条「相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。」
【条文】民法921条「次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。」
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない(民法915条1項本文)。相続人がこの期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなす(921条2号)。何もしないまま期間が過ぎると単純承認の効果が生じるもので、法定単純承認と呼ばれる。
相続人Aは、いったん相続の承認をしたが、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内であれば、その承認を撤回することができる。
相続の承認は、熟慮期間の3か月以内であっても撤回できない。
解説
誤り。相続の承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内であっても、撤回することができない。
【ひっかけ】承認・放棄をすべき期間の「3か月以内」を、撤回できる期間であるかのように使う作り方。
【条文】民法919条「相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。」
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない(民法915条1項)。相続の承認及び放棄は、この期間内でも、撤回することができない(民法919条1項)。総則編や親族編の規定により承認又は放棄の取消しをすることは妨げられないが(同条2項)、肢のように理由を問わずに承認を撤回することはできない。


