第3条の2過去問 2
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
この条文の過去問 2問
成年後見人は、成年被後見人が後見開始の審判を受ける前に締結した契約について、その締結の時に既に後見開始の事由が存在していたことを証明して、取り消すことができる。
取り消せるのは、後見開始の審判を受けて成年被後見人となった後の行為。審判前の契約は取り消せない。
解説
誤り。成年後見人が取り消すことができるのは、後見開始の審判を受けて成年被後見人となった後の法律行為である。審判前の契約は、締結時に後見開始の事由が既に存在していたことを証明しても、行為能力の制限を理由に取り消すことはできない。
【ひっかけ】審判の前から事理を弁識する能力を欠く常況にあったのなら、遡って成年被後見人と同じに扱えるように思わせる作り方。行為能力の制限は審判を受けて成年被後見人となってから始まる。
【条文】民法8条「後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。」
【条文】民法9条「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。」
後見開始の審判を受けた者が成年被後見人となり(民法8条)、取り消すことができるのは成年被後見人の法律行為である(9条本文)。審判を受ける前にした契約は成年被後見人の法律行為ではないので、締結の時に後見開始の事由(7条)が既に存在していたことを証明しても、9条によって取り消すことはできない。もっとも、意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効となる(3条の2)。審判前の行為は、行為能力の制限による取消しではなく、意思能力の有無による無効の問題として扱う。
【ポイント】取消しの対象は審判後の行為。審判前の行為は意思能力の有無(無効)で考える。
買主が売買契約を締結した当時に意思能力を有しなかったために当該契約が無効とされる場合には、売主は、買主に対し、当該契約に基づく目的物の引渡義務を負わない。
意思能力がない買主の売買契約は無効なので、売主に引渡しの義務は生じない。
解説
正しい。意思能力を有しなかった買主がした売買契約は無効であり、契約に基づく債務は生じないので、売主は目的物の引渡義務を負わない。
【ひっかけ】無効なのは買主の側の意思表示なので、売主の義務は残るように思わせる作り方。法律行為が無効であれば、当事者双方とも契約に基づく債務を負わない。
【条文】民法3条の2「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。」
【条文】民法121条の2「第一項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。」
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効となる(民法3条の2)。売買契約が無効であれば、契約に基づく債務はどちらの当事者にも生じないので、売主は、買主に対して目的物を引き渡す義務を負わない。なお、無効な契約に基づいて既に給付がされていたときは、給付を受けた者が原状回復の義務を負い(121条の2第1項)、行為の時に意思能力を有しなかった者は、現に利益を受けている限度で返還すれば足りる(同条3項)。