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区分建物の表題登記と敷地権・規約敷地の要点|土地家屋調査士試験

不動産登記法 読了 約16分

区分建物の要件、表題登記の一括申請(不動産登記法48条)、表題部所有者となる原始取得者、敷地権と分離処分可能規約、規約敷地と法定敷地を条文と過去問で整理。よく出る引っかけの型まで、土地家屋調査士試験の受験生向けに解説します。

区分建物は、土地家屋調査士試験の不動産登記法で毎年のように出題される分野です。マンションの登記をイメージできれば難しくはありませんが、区分建物以外の建物と違うルールがいくつもあり、そこが引っかけの材料になります。

結論から言うと、押さえるべき違いは3つです。第1に、区分建物の表題登記は、一棟の建物に属する他の区分建物の表題登記と併せて申請します(不動産登記法48条1項)。第2に、表題部所有者になれるのは原始取得者だけで、買い受けた人は自分の名義で表題登記ができません。第3に、登記された敷地利用権で専有部分と分離して処分できないものは敷地権として建物の表題部に記録され、規約で敷地にした土地(規約敷地)もその対象になります。

本記事では、区分建物の要件から始めて、表題登記の申請方法、原始取得者、敷地権、規約敷地の順に、条文と過去問の結論を表で整理します。

区分建物の要件

不動産登記法2条22号は、区分建物を次のように定義しています。

区分建物 一棟の建物の構造上区分された部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第三項に規定する専有部分であるもの(区分所有法第四条第二項の規定により共用部分とされたものを含む。)をいう。(不動産登記法2条22号)

この定義を分解すると、要件は次の表のとおりです。

要件 内容
構造上の独立性 壁・床・天井などで他の部分と構造上区分されていること
利用上の独立性 それだけで住居・店舗・事務所・倉庫などの用途に使えること
専有部分であること 区分所有権の目的とされていること。規約で共用部分とされたものも含む

数個の専有部分に通ずる廊下や階段室など、構造上区分所有者の全員又は一部の共用に供されるべき部分は、区分所有権の目的になりません(区分所有法4条1項)。これらを各別に1個の建物として登記することもできません。

区分建物にするかどうかを選べる場面

一棟の建物に属する建物の全部が同一の原始取得者の所有に属するときは、その全部を1個の区分建物でない建物として表題登記を申請することもできます(平成23年 第19問エ)。構造上・利用上の独立性がある部分があっても、必ず区分建物にしなければならないわけではありません。

区分建物の表題登記は一棟の全部を併せて申請する

区分建物の表題登記の最大の特徴は、一棟の建物に属する区分建物を併せて申請しなければならない点です。

区分建物が属する一棟の建物が新築された場合又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。(不動産登記法48条1項)

区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって、その区分建物の表題登記を申請できます(同条2項)。表題登記がない建物に接続して区分建物が新築された場合について、平成23年 第19問イはこの代位申請ができるとしています。

ただし、併せて申請するといっても、全部を一の申請情報にまとめることまでは求められていません。部屋ごとに申請書が分かれていてもかまいません。

法務局の窓口に、部屋ごとに分かれた申請書が一つのトレーにそろえて同時に出されている絵。
一棟の全部を併せて申請するが、一の申請情報でなくてもよい。

併せて申請する場面・しない場面

場面 申請の方法 出題
一棟の建物が新築された(敷地権の有無を問わない) 他の区分建物の表題登記と併せて申請する 令和4年 第17問ウ
表題登記がある区分建物でない建物に接続して区分建物が新築された 新築の区分建物の表題登記を、既存の建物の表題部の変更の登記と併せて申請する(法48条3項) 令和4年 第17問エ
表題登記がある区分建物でない2以上の建物が増築で接続して区分建物になった それぞれの表題部の変更の登記を一括して申請する(法52条3項) 平成29年 第17問ウ、令和4年 第17問ア
別の表題登記のない一棟の建物に属する区分建物を附属建物とする 附属建物とする区分建物が属する一棟の建物の他の区分建物の表題登記と併せて申請する 令和6年 第18問イ
表題登記がない区分建物に処分の制限の登記を嘱託する 他の区分建物の表題登記の嘱託と併せることを要しない 平成28年 第16問エ
一棟の建物のうち一部の区分建物だけが滅失した 他の区分建物の表題部の変更の登記と併せて申請する定めはない 令和6年 第18問エ、令和元年 第18問ウ

平成23年 第19問アは、区分建物でない建物に接続して区分建物が新築された場面で、既存の建物の「表題部の登記の抹消」と併せて申請するとした肢で、誤りです。併せるのは表題部の「変更」の登記です。

「併せて申請する」という定めは表題登記についてのものです。滅失の登記や一棟の建物の床面積の変更の登記に同じ定めがあるように見せる肢が繰り返し出ています。一棟の建物の構造や床面積の変更・更正の登記は、1個の区分建物について申請すれば、他の区分建物についてされた登記としての効力を有するので、他の区分建物の名義人が併せて申請する必要はありません(令和4年 第17問イ、令和6年 第18問オ、令和元年 第18問イ)。

表題部所有者は原始取得者

区分建物でない建物では、新築した者のほか、表題登記がない建物の所有権を取得した者も表題登記を申請します(法47条1項)。しかし、区分建物はこの「取得した者」の対象から外れています。

そのため、区分建物の表題部所有者になれるのは、建物を新築するなどして最初に所有権を取得した原始取得者です。分譲マンションなら分譲業者が全戸の表題登記をし、購入者は表題部所有者から所有権を取得した者として、所有権の保存の登記を申請します(法74条2項)。

完成したマンションの前で、分譲業者が表題登記の申請書を持ち、買主は鍵を受け取っている様子の絵。
表題部所有者は原始取得者で、転得者は自分の名義でできない。

原始取得者をめぐる論点

場面 正しい結論 出題
原始取得者が表題登記を申請しない 転得者は、原始取得者に代位して表題登記を申請できる 平成29年 第17問オ
原始取得者が一部の区分建物を売却した 原始取得者が転得者に代位して「しなければならない」わけではない 平成23年 第19問ウ
原始取得者が表題登記の前に死亡した 相続人は、被相続人を表題部所有者とする表題登記を申請できる。自己を表題部所有者にはできない 平成23年 第19問オ
原始取得者の会社を他の会社が吸収合併した 存続会社は、合併前の会社を表題部所有者として申請する 平成28年 第16問ア
相続人が申請するときの添付情報 相続その他の一般承継を証する情報は、所有権を証する情報とは別に提供する 平成28年 第16問イ
相続人に申請義務があるか 相続した日から1か月以内に申請する義務はない 令和4年 第17問オ

相続や合併の場面を定めているのが法47条2項です。

区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。(不動産登記法47条2項)

条文の文言は「申請することができる」です。令和4年 第17問オは、区分建物以外の建物の申請義務(法47条1項)を相続人にも当てはめさせる肢でした。

敷地権とは何か

マンションの専有部分の所有者は、建物の敷地について所有権や地上権などの権利(敷地利用権)を持っています。区分所有法22条1項は、敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合、区分所有者は専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができないと定めています。ただし、規約に別段の定めがあるときは除かれます。

不動産登記法は、このうち登記されたもので、分離して処分できないものを敷地権と呼び、建物の表示に関する登記の登記事項にしています(法44条1項9号)。

項目 内容
敷地権になる権利 登記された所有権・地上権・賃借権。共有持分権も含む
敷地権にならない権利 登記できない使用借権。分離処分可能規約がある区分建物の敷地利用権
申請情報 敷地権の目的となる土地の表示、敷地権の種類及び割合、登記原因及びその日付
登記後の扱い 登記官が職権で土地の登記記録に敷地権である旨の登記をする(法46条)
効力 その後の区分建物についての所有権や担保権の登記は、原則として敷地権についてされた登記としての効力を持つ(法73条1項本文)

敷地権の過去問で問われた結論

論点 正しい結論 出題
使用借権を敷地利用権として区分建物を新築した 使用借権を敷地権として表題登記はできない 平成27年 第15問エ
2筆の土地の共有持分権 敷地権として表題登記を申請できる 令和4年 第18問ア
新築後に敷地の所有権を取得し、その登記がされた 敷地権の登記原因の日付は、所有権の取得の登記の日 平成26年 第16問ア
敷地権の登記をしないまま表題登記がされていた 表題部の更正の登記で、敷地権の登記原因及びその日付も申請情報とする 平成28年 第16問ウ、令和2年 第14問イ
土地と専有部分の登記名義人の表示(住所など)が一致しない 同一性を証する情報では代えられず、先に表示の変更・更正の登記をする 平成28年 第16問オ、令和2年 第14問ウ、令和7年 第13問イ
敷地権である旨の登記がある土地の売買による持分移転 前提として敷地権の登記を抹消する表題部の変更の登記をする 令和4年 第18問オ

敷地権の割合

敷地権の割合は、区分所有者が数個の専有部分を所有するとき、原則として専有部分の床面積の割合によります。ただし、規約で異なる割合を定めることもできます(区分所有法22条2項)。

敷地権付き区分建物どうしが合体し、合体後も敷地権付き区分建物になる場合に、合体前の割合を合算したものが合体後の割合になるときは、割合に係る規約を設定したことを証する情報を提供する必要はありません(平成27年 第15問ウ、令和2年 第14問オ)。

分離処分可能規約がある区分建物

規約で分離処分を可能とした区分建物には、敷地権がありません。過去問で問われた結論は次のとおりです。

  • 区分建物の所有者が敷地の所有権の登記名義人なのに、規約で分離処分を可能としたため敷地権にならないときは、規約の定めを証する情報を提供する(平成27年 第16問ア。令和2年 第14問エは「要しない」が誤り)
  • 3個のうち1個だけに規約があるときは、他の2個についてだけ敷地権に関する事項を申請情報にできる(令和元年 第18問オ、令和7年 第13問オ)
  • 敷地権の登記がある区分建物の一部だけに後から規約を設定し、その区分建物だけ敷地権の登記を抹消する表題部の変更の登記ができる(令和4年 第18問エ)
  • 規約の設定による敷地権の変更の登記で、抵当権者が抵当権を消滅させることを承諾した情報を提供すれば、消滅した旨の登記がされる(平成27年 第16問オ、平成26年 第16問オ)

規約敷地と法定敷地

区分所有法上の「建物の敷地」には、建物が実際に建っている土地(法定敷地)と、規約で建物の敷地とした土地(規約敷地)の2つがあります(区分所有法2条5項)。

区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。(区分所有法5条1項)

規約敷地は、建物が所在しない土地でもかまいません。道を挟んだ駐車場のように、建物と一体として使う土地を規約で敷地にすれば、そこについての敷地利用権も敷地権になり得ます。

上から見たマンションの敷地と、道を挟んだ駐車場が、規約で敷地とされている様子の絵。
規約敷地は建物と一体で使う土地を規約で敷地としたもの。建物が無い土地でもよい。

規約敷地・法定敷地で問われる結論

論点 正しい結論 出題
ある一棟の建物の法定敷地や規約敷地を、別の一棟の建物の規約敷地にできるか できる。敷地権の発生を原因とする表題部の変更の登記も申請できる 平成27年 第16問エ、平成26年 第16問エ、令和6年 第18問ア
表題登記の後に規約敷地が生じた 表題部所有者又は所有権の登記名義人が1か月以内に表題部の変更の登記を申請する 令和4年 第18問イ
規約敷地を加える表題部の変更の登記の添付情報 規約を設定したことを証する情報。建物図面は要らない 令和7年 第10問イ
建物の一部取壊しで法定敷地の上に建物がなくなった 規約敷地とみなされ敷地権は残る。変更の登記は要しない 平成27年 第16問イ、令和6年 第18問ウ
分筆で建物が所在しない土地ができた 同じく規約敷地とみなされ、変更の登記は要しない 令和元年 第18問ア
敷地権のある規約敷地を分筆する 管轄が異なっても、規約を設定したことを証する情報は要しない 令和2年 第14問ア

建物が所在しなくなった土地の扱いは、区分所有法5条2項が根拠です。建物の一部の滅失や土地の分割で建物が所在する土地以外の土地となったときは、規約で建物の敷地と定められたものとみなされます。「建物が乗っていないから敷地権が消える」と考えると、令和6年と平成27年の同じ型の肢を落とします。

集会で規約を設定する場合は、決議が成立していなければ規約はありません。令和4年 第18問ウは、区分所有者2人のうち1人だけが賛成した議事録を添付して規約敷地の敷地権で表題登記を申請できるとした肢で、誤りです。

公正証書による規約(区分所有法32条)

分譲マンションでは、表題登記の前に区分所有者の集会を開けません。そこで区分所有法32条は、最初に建物の専有部分の全部を所有する者が、公正証書により一定の規約を設定できるとしています。

公正証書で設定できる規約 根拠
建物の部分や附属の建物を共用部分とすること 区分所有法4条2項
庭・通路などの土地を建物の敷地とすること(規約敷地) 同法5条1項
専有部分と敷地利用権を分離して処分できるとすること 同法22条1項ただし書
敷地利用権の割合を床面積の割合と異なる割合とすること 同法22条2項ただし書

平成24年 第18問では、法定共用部分の持分を床面積の割合と異なる割合とすることが、この4つに含まれないものとして出題されています。

試験で問われるポイント

  • 区分建物の要件は、構造上の独立性・利用上の独立性・専有部分であること(法2条22号)
  • 一棟の全部が同一の原始取得者に属するなら、全部を1個の区分建物でない建物として表題登記できる
  • 区分建物の表題登記は、敷地権の有無にかかわらず他の区分建物と併せて申請する。一の申請情報にする必要はない
  • 区分建物でない建物に接続して新築したときは、既存建物の表題部の「変更」の登記と併せる
  • 表題部所有者は原始取得者。転得者は代位なら申請できる。相続人・合併会社は被承継人名義で申請し、申請義務はない
  • 敷地権は登記された敷地利用権に限る。使用借権は敷地権にならない。共有持分権はなる
  • 分離処分可能規約があると敷地権にならず、規約の定めを証する情報を提供する。一部の区分建物だけに設定できる
  • 規約敷地は建物が無い土地でも、別の一棟の建物の敷地でもよい。生じたら1か月以内に表題部の変更の登記
  • 一部滅失や分筆で建物が所在しなくなった土地は規約敷地とみなされ、敷地権は残る

よくある引っかけ(過去問で×になった肢の型)

1. 区分建物でない建物のルールを持ち込む型:区分建物でない建物では取得者に1か月の申請義務があることを使い、相続人や合併会社が自己名義で申請できる、又は相続の日から1か月以内に申請しなければならないとする肢です(平成23年 第19問オ、平成28年 第16問ア、令和4年 第17問オ)。

2. 「併せて申請」を他の登記に広げる型:表題登記の一括申請の定めを、滅失の登記や一棟の建物の床面積の変更の登記に当てはめる肢です(令和6年 第18問エ、令和4年 第17問イ)。併せて申請する定めは表題登記のものです。

3. 「併せて」を「一の申請情報」にすり替える型:併せて申請することは必要でも、全部を一の申請情報にまとめる必要はありません。敷地権付きでないなら併せる必要がないとする肢(令和4年 第17問ウ)も誤りです。

4. 敷地権がないのだから添付情報も要らないとする型:分離処分可能規約で敷地権にならないときに、規約の定めを証する情報を「要しない」とする肢です(令和2年 第14問エ)。敷地権にならない理由を示す情報が求められます。

5. 建物が乗っていない土地は敷地でなくなるとする型:一部取壊しや分筆で建物が所在しなくなった土地について、敷地権でなくなったことによる変更の登記を「しなければならない」とする肢です(令和6年 第18問ウ、平成27年 第16問イ、令和元年 第18問ア)。

6. 一つの土地は一つの建物の敷地にしかならないとする型:別の一棟の建物の法定敷地や規約敷地を、さらに規約敷地にすることは「できない」とする肢です(令和6年 第18問ア、平成26年 第16問エ)。

7. 同一性を証する情報で足りるとする型:土地と建物の登記名義人の住所などが一致しないとき、同一性を証する情報を付ければ敷地権の発生の登記ができるとする肢です(令和7年 第13問イ、令和2年 第14問ウ)。先に表示の変更・更正の登記が要ります。

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