分筆の登記と合筆の登記の要件・制限・申請人|土地家屋調査士試験
分筆の登記と合筆の登記を、申請できる者、申請義務の有無、職権でする場合、合筆の制限(不動産登記法41条)と規則105条の例外、分筆に伴う権利の消滅、登記識別情報の扱いで整理。過去問で×になった肢の型も確認します。
分筆の登記と合筆の登記は、土地家屋調査士の実務で最も多い登記の一つで、試験でも択一式の定番テーマです。肢の作られ方は、「誰が申請できるか」「職権でできるのはどんな場合か」「どんな土地なら合筆できないか」の3つにほぼ集約されます。
結論を先に言うと、分筆・合筆の登記を申請できるのは表題部所有者又は所有権の登記名義人だけです(不動産登記法39条1項)。所有者の意思でする登記なので、申請義務はありません。登記官が職権でするのは、一筆の一部が別の地目や別の地番区域になったときの分筆(39条2項)と、地図作成のために所有者の異議がないときの分筆・合筆(39条3項)に限られます。合筆は、接続・地目・地番区域・名義人・持分・所有権の登記の有無がそろい、所有権以外の権利の登記がない土地でなければできません(41条)。
本記事では、条文と過去問の肢をもとに、分筆と合筆の要件を表で整理し、最後に過去問で×になった肢の型をまとめます。以下、条文番号は特に断りのない限り不動産登記法です。
分筆と合筆の全体像
分筆・合筆とはどんな登記か
分筆の登記は、一筆の土地を二筆以上に分ける登記です。土地の一部を売ったり、相続人で分けたりするときの前提になります。分筆後の土地には、もとの地番に支号が付きます。
合筆の登記は、隣り合う数筆の土地を一筆にまとめる登記です。どちらも土地の区画を登記記録の上で変える表示に関する登記で、所有者そのものは変わりません。土地の現況が変わるわけではないため、地目の変更の登記のような1か月以内の申請義務は定められていません。
比較表
| 項目 | 分筆の登記 | 合筆の登記 |
|---|---|---|
| 内容 | 一筆を二筆以上に分ける | 数筆を一筆にまとめる |
| 申請できる者 | 表題部所有者又は所有権の登記名義人(39条1項) | 同じ(39条1項) |
| 申請義務 | なし | なし |
| 職権でする場合 | 一部が別の地目・地番区域になったとき(しなければならない)、地図作成のため異議がないとき(できる) | 地図作成のため異議がないとき(できる)のみ |
| 制限 | 権利の登記があってもできる。権利は分筆後の土地に転写される | 41条の6つの場合はできない |
| 権利の登記の扱い | 権利者の承諾で、分筆後のいずれかの土地について消滅させられる(40条) | 一方にだけ抵当権の登記があれば、承諾があってもできない |
| 登記識別情報の提供(合筆) | ― | 所有権の登記がある土地では、いずれか一筆分を提供する |
| 新たな登記識別情報の通知 | されない | 所有権の登記がある土地ではされる |
合筆では、所有権の登記がある土地の申請人に新たな登記識別情報が通知されます。分筆では、分筆後のいずれの土地についても新たな登記識別情報は通知されません(平成30年 第8問エ。正しい)。分筆は申請人が新たに登記名義人となる登記ではないからです。
申請できる者
表題部所有者又は所有権の登記名義人に限られる
39条1項は、分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は申請することができないと定めます。ポイントは「登記記録上の」名義人に限られる点です。土地を買い受けて所有権を取得していても、所有権の移転の登記を受けていない買主は申請できません。売主の承諾を証する情報を提供しても同じです。

- 所有権の移転の登記がされていない買主Bは、所有権を取得したことを証する情報を提供しても、分筆の登記を申請できる(令和3年 第11問ア。誤り)
- 表題部所有者A・B・Cから土地を買い受けたDは、A・B・Cの承諾を証する情報を提供しても、分筆の登記を申請できない(平成26年 第10問ウ。正しい)
- 甲土地と乙土地を買い受けたBは、両土地の所有権の移転の登記を受けなければ、合筆の登記を申請できない(平成27年 第9問ア。正しい)
代位による申請と相続人による申請
名義人でない者が申請できる場面もあります。土地区画整理事業の施行者は、事業の施行のために必要があるときは、所有者に代位して分筆又は合筆の登記を申請できます(令和元年 第14問ア。「できない」とする肢は誤り)。また、共有物分割の判決が確定したのに共有者Bが分筆の登記に協力しないときは、Aは、Bに代位して判決の内容に基づく分筆の登記を申請できます(平成26年 第10問エ。「できない」とする肢は誤り)。
所有権の登記名義人が死亡したときは、相続人その他の一般承継人が表示に関する登記を申請できます(30条)。共有の登記名義人A・BのうちAが死亡し相続人がC・Dである場合に、一筆の一部が別の地目となったときは、Dが単独で一部地目変更分筆登記を申請できるとされています(令和4年 第8問オ。正しい)。
申請義務と職権による分筆・合筆
分筆・合筆には申請義務がない
分筆・合筆は所有者の意思でする登記で、申請義務の規定がありません。過去問では、現況の変化をきっかけに分筆の義務があるように見せる肢が出ています。
- 宅地として登記されている土地の一部を区画して建物を建築したときは、その部分について分筆の登記を申請しなければならない(平成26年 第10問イ。誤り)
- 地上権者が地上権の一部を譲渡したときは、所有権の登記名義人は譲渡部分について分筆の登記を申請しなければならない(平成26年 第10問オ。誤り)
宅地の一部に建物を建てても地目は宅地のままなので、分筆の義務も地目の変更の義務も生じません。
職権でする分筆・合筆(39条2項・3項)
登記官が申請なしに分筆・合筆をする場面は、次の2つです。
| 場面 | 条文 | 分筆 | 合筆 | 要件 |
|---|---|---|---|---|
| 一筆の一部が別の地目となり、又は地番区域を異にするに至ったとき | 39条2項 | しなければならない | 規定なし | 申請がないこと |
| 地図(14条1項)を作成するため必要があると認めるとき | 39条3項 | できる | できる | 表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限る |
2項は「しなければならない」、3項は「することができる」で、3項には「異議がないときに限り」という限定が付いています。この違いがそのまま肢になります。

- 地図を作成するため必要があるときは、所有権の登記名義人の異議の有無にかかわらず、職権で分筆の登記ができる(令和2年 第9問ア。誤り)
- 地図を作成するため必要があるときは、所有権の登記名義人Aに異議があっても、職権で合筆の登記ができる(平成29年 第14問オ。誤り)
一部地目変更による分筆
一筆の土地の一部が別の地目となったとき、登記官は職権で分筆しなければなりませんが、それで所有者の地目の変更の登記の申請義務がなくなるわけではありません。地目について変更があったときは、所有者は変更があった日から1か月以内に地目の変更の登記を申請しなければならないからです(37条1項)。
実務では、地目が変わった部分を分筆し、その部分の地目を変更する登記を一の申請情報で申請します(不動産登記規則35条7号)。この場合も、地目の変更について登記原因及びその日付を申請情報の内容とします(令和2年 第9問イ。正しい)。
分筆の登記の効果と権利の登記
権利の登記は分筆後の土地に転写される
分筆の登記では、甲土地の所有権の登記がそのまま分筆後の乙土地に転写されます。所有者そのものは変わらないので、分筆の登記だけで所有者を分けることはできません。
- A・B共有の甲土地から乙土地を分筆する際に、甲をA、乙をBの単独所有とする共有物分割の判決を提供すれば、甲にA、乙にBが単独所有者として登記される(令和7年 第11問ア。誤り)
分筆後の各土地を共有者の単独所有にするには、分筆の登記の後に、共有物分割を原因とする持分の移転の登記を別に申請します。また、分筆の登記が錯誤によるものであれば、抵当権の設定の登記がされた後でも、錯誤を原因として分筆の登記の抹消を申請できます(令和5年 第9問ア。「できない」とする肢は誤り)。
分筆に伴う権利の消滅(40条)
抵当権の付いた土地を分筆して一部を売るとき、買主は抵当権のない土地を望みます。40条は、分筆の登記の申請情報と併せて、権利の登記名義人が分筆後のいずれかの土地についてその権利を消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたときは、登記官は承諾に係る土地について権利が消滅した旨を登記しなければならないと定めます。その権利を目的とする第三者の権利の登記があれば、その第三者の承諾も必要です。
| 承諾の対象 | 登記のされ方 |
|---|---|
| 分筆後の乙土地について消滅 | 甲土地の権利の登記に消滅した旨を付記し、乙土地には転写しない |
| 分筆後の甲土地について消滅 | 甲土地に消滅した旨を記録し、乙土地には転写する |
| 分筆後の甲・乙の全部について消滅 | この登記はできない |
- 分筆後の甲土地について消滅させる承諾があれば、甲土地には消滅した旨が記録され、乙土地には抵当権の設定の登記が転写される(平成26年 第10問ア。正しい)
- 分筆後の甲・乙の2筆とも消滅させる承諾があっても、消滅した旨の登記はできない(令和5年 第9問イ。正しい)
この仕組みは分筆の登記についての定めで、合筆には使えません。この点は次の合筆の制限で重要になります。
合筆の登記の制限(41条)
合筆できない6つの場合
41条は、次の合筆の登記はすることができないと定めています。数筆を一つの登記記録にまとめても、登記の内容が食い違わないことを求める規定です。
| 号 | 合筆できない場合 |
|---|---|
| 1号 | 相互に接続していない土地 |
| 2号 | 地目又は地番区域が相互に異なる土地 |
| 3号 | 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地 |
| 4号 | 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地 |
| 5号 | 所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地 |
| 6号 | 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(合筆後の土地の登記記録に登記できるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く) |

1号から5号は「そろっていること」の要件です。共有者が同じA・Bでも、持分の割合が土地ごとに違えば4号に当たります。
- 甲土地はA5分の3・B5分の2、乙土地はA5分の2・B5分の3で登記されているときは、合筆の登記を申請できない(令和6年 第9問ア。正しい)
- 地番区域が相互に異なる土地でも、相互に接続していれば合筆できる(平成27年 第8問オ。誤り)
- 甲土地・乙土地の地目がいずれも保安林のときは、保安林の指定が解除されない限り合筆できない(平成28年 第10問ウ。誤り。地目が同じなので合筆できる)
所有権以外の権利の登記がある土地(6号)と規則105条の例外
6号により、抵当権などの所有権以外の権利の登記がある土地は、原則として合筆できません。一方の土地にだけ抵当権の登記があるとき、抵当権者が抵当権を消滅させることを承諾しても、合筆はできません。40条の承諾による消滅は分筆についての仕組みだからです。合筆したいときは、合筆の前に抵当権の抹消の登記を済ませておく必要があります。
- 乙土地にのみ抵当権の設定の登記があるとき、抵当権者の消滅の承諾を証する情報を添付すれば合筆の登記を申請できる(平成29年 第14問ア。誤り)
6号の括弧書の例外を具体的に定めているのが不動産登記規則105条です。承役地についてする地役権の登記、登記の目的・申請の受付の年月日及び受付番号・登記原因及びその日付が同一の担保権の登記、登記事項が同一の信託の登記などは、合筆後の土地の登記記録に登記できるので、合筆を妨げません。
- 甲・乙両土地に同一の抵当権の設定の登記があり、その後の変更の登記も両方で同一であれば、合筆の登記を申請できる(令和2年 第10問ア。正しい)
- 乙土地が第三者に使用貸借されていても、使用貸借は登記できる権利ではないので、合筆の登記を申請できる(令和4年 第9問ア。正しい)
一方だけに変更の登記がされていれば、内容が同一とはいえないので合筆できません。所有権の移転の仮登記は規則105条の例外に挙がっていないので、同一の内容でも合筆できない、と整理されています。
合筆の登記の手続
登記識別情報は一筆分で足りる
所有権の登記がある土地の合筆の登記を申請するときは、登記名義人の登記識別情報を提供します(不動産登記令8条1項1号)。提供するのは、合筆に係る土地のうちいずれか一筆の土地の所有権の登記名義人の登記識別情報で足ります(同条2項1号)。
- 甲土地と乙土地を合筆するときは、それぞれの所有権の登記名義人の登記識別情報をいずれも提供しなければならない(平成30年 第8問イ。誤り)
- 登記識別情報を失念したときは、提供できない理由を申請情報の内容として提供しなければならない(令和元年 第8問エ。正しい)
分合筆
甲土地の一部を分筆して乙土地に合筆する場合、分筆の登記と合筆の登記を一の申請情報で申請できます。この分合筆の登記がされたときは、甲土地から分筆して乙土地に合筆した部分について、新たな表題部の登記記録は作成されません(令和5年 第5問ウ。正しい)。
試験で問われるポイント
- 分筆・合筆を申請できるのは、表題部所有者又は所有権の登記名義人だけ(39条1項)。移転の登記を受けていない買主は、承諾があっても申請できない
- 土地区画整理事業の施行者による代位、共有物分割の判決に基づく代位、相続人による申請はできる
- 分筆・合筆には申請義務がない
- 一部が別の地目・地番区域になったときの職権分筆は「しなければならない」。地図作成のための職権分筆・合筆は「異議がないときに限り」できる
- 一部が別の地目になっても、所有者の地目の変更の登記の申請義務は残る
- 分筆では権利の登記が転写される。分筆だけで所有者は変わらない
- 分筆に伴う権利の消滅は「いずれかの」土地についてだけ。全部の土地については不可
- 合筆は、接続・地目・地番区域・名義人・持分・所有権の登記の有無がそろい、所有権以外の権利の登記がない土地に限る(41条)
- 同一内容の担保権・信託の登記や承役地の地役権の登記は、規則105条で合筆を妨げない
- 合筆の登記識別情報は一筆分で足りる。分筆では新たな登記識別情報は通知されない
よくある引っかけ
過去問で×になった肢は、次の型に集約されます。
- 未登記の買主に申請させる型:所有権を取得したことを証する情報や売主の承諾があれば、移転の登記前の買主が分筆を申請できる(令和3年 第11問ア)
- 代位を否定する型:土地区画整理事業の施行者は代位して分筆・合筆を申請できない(令和元年 第14問ア)、共有物分割の判決があっても代位できない(平成26年 第10問エ)
- 申請義務を付ける型:宅地の一部に建物を建てたら分筆しなければならない、地上権の一部譲渡で分筆しなければならない(平成26年 第10問イ・オ)
- 「異議がないときに限り」を外す型:異議の有無にかかわらず職権で分筆・合筆できる(令和2年 第9問ア、平成29年 第14問オ)
- 分筆で所有者が変わるとする型:共有物分割の判決を提供すれば分筆後の各土地が単独所有で登記される(令和7年 第11問ア)
- 40条を合筆に持ち込む型:一方にだけある抵当権を、消滅の承諾で外して合筆できる(平成29年 第14問ア)
- 41条の要件を緩める型:地番区域が違っても接続していれば合筆できる(平成27年 第8問オ)
- 要件にない条件を足す型:保安林は指定の解除がないと合筆できない(平成28年 第10問ウ)
- 登記識別情報を全部要求する型:合筆する各土地の登記識別情報をすべて提供しなければならない(平成30年 第8問イ)
肢を読むときは、まず「分筆の話か、合筆の話か」を確認し、次に申請人、職権の要件、41条の各号の順に当てはめると、入れ替えの引っかけに気づきやすくなります。
よくある質問
抵当権の登記がある土地は分筆できますか
できます。41条のような制限は分筆にはなく、抵当権の登記は分筆後の土地に転写されます。抵当権者が分筆後のいずれかの土地について抵当権を消滅させることを承諾すれば、その土地について消滅した旨が登記されます(40条)。これに対して合筆は、一方にだけ抵当権の登記があればできません。
分筆の登記で敷地の地番が変わると、建物の登記はどうなりますか
建物が所在する土地の地番が分筆によって変わると、建物の所在が変わります。この場合、建物の所有権の登記名義人は、1か月以内に建物の所在の変更の登記を申請しなければなりません(平成26年 第11問オ、令和元年 第16問エ)。土地の分筆には申請義務がないのに、それに伴う建物の所在の変更には申請義務がある、という対比は狙われやすい点です。
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