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地図・地図に準ずる図面・地積測量図の違い|土地家屋調査士試験

不動産登記法 読了 約14分

不動産登記法14条の地図、地図に準ずる図面、地積測量図・建物図面・各階平面図の役割と記録事項を比較表で整理。基本三角点等と恒久的な地物、保存期間、写しの請求、訂正の申出まで、土地家屋調査士試験の過去問の引っかけとあわせて解説します。

土地家屋調査士試験の不動産登記法では、登記所にある「図面」の問題が毎年のように出ます。地図、地図に準ずる図面、地積測量図、建物図面、各階平面図は名前が似ていて、記録事項や保存期間を入れ替えた肢で失点しやすい分野です。

結論から言うと、図面は次の2つのグループに分けると整理できます。

  • 登記所が備え付ける図面:地図(法14条1項・2項)、地図に準ずる図面(同条4項・5項)、建物所在図(同条1項・3項)。土地や建物の並びを面で示す、登記所の台帳のような図面です
  • 申請人が登記の申請で提供する図面:地積測量図、土地所在図、建物図面、各階平面図。一筆の土地や一個の建物ごとに作り、登記の後は登記簿の附属書類として登記所に保管されます

この区別を軸にすると、「地図には例外がないが地積測量図には例外がある」「閉鎖されたら永久か30年か」といった違いが、理由とセットで覚えられます。本記事では、それぞれの図面の役割と記録事項を条文で確認し、最後に過去問で×になった肢の型をまとめます。

図面の全体像を一枚の表で押さえる

まず、主な図面の違いを一覧にします。細かい記録事項は後の節で扱います。

図面 根拠 誰が用意するか 何を示すか 作成の単位
地図 法14条1項・2項 登記所が備え付け 各土地の区画と地番 一筆又は二筆以上の土地ごと
地図に準ずる図面 法14条4項・5項 登記所が備え付け(地図ができるまで) 土地の位置、形状及び地番 一筆又は二筆以上の土地ごと
建物所在図 法14条1項・3項 登記所が備え付け 各建物の位置と家屋番号 一個又は二個以上の建物ごと
地積測量図 規則77条 申請人が提供 一筆の土地の地積と求積方法、筆界点の座標値など 一筆の土地ごと
土地所在図 令2条2号・規則76条 申請人が提供 一筆の土地の所在 一筆の土地ごと
建物図面 規則82条 申請人が提供 建物の敷地と一階の位置・形状 一個の建物ごと
各階平面図 規則83条 申請人が提供 各階の形状と床面積など 一個の建物ごと

法14条6項により、地図・建物所在図・地図に準ずる図面は電磁的記録に記録することができます。

不動産登記法14条の地図

地図は「各土地の区画」を明確にする図面

法14条1項は、登記所には地図及び建物所在図を備え付けるものとすると定めます。同条2項によれば、地図は一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものです。この条文から「14条地図」とも呼ばれます。

登記記録には土地の所在・地番・地目・地積が書かれていますが、土地がどこにどんな形であるかは文字だけでは分かりません。それを面で示すのが地図です。地図は、正確な測量及び調査の成果に基づいて作成します(規則10条1項)。

測量は基本三角点等を基礎にする。例外はない

地図を作成するための測量は、基本測量の成果である三角点及び電子基準点、国土調査法の認証・指定を受けた基準点などの「基本三角点等」を基礎として行います(規則10条3項)。この規定には、近傍に基本三角点等がない場合の例外が置かれていません。

令和6年第6問アは「近傍に基本三角点等が存しない場合には、近傍の恒久的な地物を基礎として行うことができる」として×でした。恒久的な地物に基づく測量が認められているのは、後で扱う地積測量図(規則77条2項)です。反対に、令和5年第6問アの「電子基準点を基礎として行うことができる」は○です。電子基準点は基本三角点等に含まれます。

三角点の標石を基礎にした測量に丸印、石垣の角を基礎にした測量に×印を付けた左右対比の絵。
地図の測量は基本三角点等を基礎とし、恒久的な地物は基礎にできない。

縮尺は地域で決まる

地図の縮尺は、地域の区分ごとに規則10条2項が定めています。

地域 縮尺
市街地地域 250分の1又は500分の1
村落・農耕地域 500分の1又は1000分の1
山林・原野地域 1000分の1又は2500分の1

平成26年第5問ウは「主に田、畑が占める地域」の地図を2500分の1で作成するとして×でした。田・畑は村落・農耕地域なので500分の1又は1000分の1です。2500分の1は山林・原野地域の縮尺の一つです。

記録事項は「基本三角点等の位置」と「筆界点の座標値」

地図には、地番区域の名称、縮尺、各土地の区画及び地番、基本三角点等の位置、精度区分などを記録します(規則13条1項)。電磁的記録に記録する地図には、各筆界点の座標値も記録します(同条2項)。

ここで問われるのは記録しないものです。

  • 基本三角点等は「位置」を記録し、名称や座標値は記録事項に挙がっていません。令和5年第6問イは「名称及びその座標値を記録しなければならない」として×でした
  • 縮尺係数は地図の記録事項ではありません

地籍図も地図として備え付けられる

国土調査法による地籍調査の成果として登記所に送付された地籍図の写しは、地図として備え付けることを不適当とする特別の事情がある場合を除き、地図として備え付けます。令和5年第6問ウでは、国土調査法19条5項の指定を受けて登記所に送付される実測図について、同じ扱いになることが○として問われました。

地図に準ずる図面

地図ができるまでの「代わり」

法14条1項の地図は、まだすべての土地について備えられているわけではありません。そこで同条4項は、地図が備え付けられるまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができるとしています。

条文の言葉の違いが重要です。地図が「各土地の区画を明確にし、地番を表示する」のに対し、地図に準ずる図面は「土地の位置、形状及び地番を表示する」ものです(同条5項)。実務では、地図に準ずる図面の形状が現地と一致しないことがあるため、地積測量図や現地の境界標と照らし合わせて使います。

法務局の閲覧台で、古い図面に描かれた土地の位置と形を、来庁者の男性と先生が確かめている絵。
地図に準ずる図面は、地図ができるまで土地の位置・形状・地番を示す。

閉鎖されても保存期間は永久

新たに地図が備え付けられると、従前の地図に準ずる図面は閉鎖されます(規則12条1項・4項)。それでも、地図及び地図に準ずる図面は、閉鎖したものを含めて保存期間が永久です(規則28条2号)。建物所在図も、閉鎖したものを含めて永久です(同条3号)。

令和6年第6問ウはこの点を正面から問い、○でした。「閉鎖の日から50年間」とする肢は誤りの型です。

写しと閲覧は「何人も」請求できる

法120条1項・2項により、何人も、手数料を納付して、地図・建物所在図・地図に準ずる図面(地図等)の全部又は一部の写しの交付や閲覧を請求できます。利害関係は要りません。

  • 平成26年第5問オは、閲覧できるのは所有者・抵当権者・隣接土地所有者など利害関係を有する者に限られるとして×でした
  • 令和5年第6問エは、電磁的記録の地図に準ずる図面が閉鎖されると、情報の内容を証明した書面の交付を請求できないとして×でした。閉鎖されたものも請求できます

申請で提供する図面:地積測量図・土地所在図

地積測量図は一筆の土地の面積と筆界点を示す

地積測量図は、一筆の土地の地積と求積方法、筆界点の座標値などを記録した図面です。土地の表題登記、分筆の登記、地積の更正の登記などの申請で提供し、登記の後は登記所に保管されます。

記録事項は規則77条1項が列挙しています。

  • 地番区域の名称、方位、縮尺
  • 地番(隣接地の地番を含む)
  • 地積及びその求積方法
  • 筆界点間の距離
  • 平面直角座標系の番号
  • 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値
  • 境界標、測量の年月日

地積測量図には「恒久的な地物」の例外がある

近傍に基本三角点等が存しない場合その他の基本三角点等に基づく測量ができない特別の事情がある場合には、近傍の恒久的な地物に基づく測量の成果による筆界点の座標値を記録します(規則77条2項)。地図との違いはこの例外の有無です。

比べる点 地図 地積測量図
測量の基礎 基本三角点等(規則10条3項) 基本三角点等(規則77条1項)
基本三角点等がないとき 例外なし 近傍の恒久的な地物に基づく座標値(同条2項)
誤差の限度 規則10条4項 規則10条4項を準用(同条5項)

一筆ごとに作る

地積測量図は一筆の土地ごとに作成し(規則75条1項)、分筆の登記では分筆前の土地ごとに作成します(同条2項)。隣接する2筆の表題登記を同時に申請する場合でも、2筆分を1枚にまとめることはできません。

2筆を1枚に描いた図面に×印、1筆ずつ2枚に分けた図面に丸印を付けた左右対比の絵。
地積測量図は一筆ごとに作り、2筆を1枚にまとめない。

誤差の限度は土地のある地域で決まる

地積測量図の誤差の限度は、規則10条4項を準用して定まります(規則77条5項)。市街地地域は精度区分甲二まで、村落・農耕地域は乙一まで、山林・原野地域は乙三までです。

土地所在図との関係

土地所在図は、一筆の土地の所在を明らかにする図面です(令2条2号)。方位、縮尺、土地の形状及び隣地の地番を記録します(規則76条1項)。地積測量図とは目的の違う別の図面ですが、電子申請で提供する地積測量図や、縮尺が同じで所在を明確に表示できる地積測量図は、土地所在図を兼ねることができます(準則51条2項・4項)。令和7年第9問オでは、兼ねられないとする肢が×になっています。

申請で提供する図面:建物図面・各階平面図

建物図面は「どこに建っているか」

建物図面は、建物の敷地とその一階(区分建物は地上の最低階)の位置及び形状を明確にする図面です(規則82条1項)。縮尺は原則として500分の1です(同条3項)。

各階平面図は「各階の形と床面積」

各階平面図には、縮尺、各階の別、各階の平面の形状、一階の位置、各階ごとの建物の周囲の長さ、床面積及びその求積方法、附属建物があるときはその別と符号を記録します(規則83条1項)。縮尺は原則として250分の1です(同条2項)。

比べる点 建物図面 各階平面図
示すもの 敷地と一階の位置・形状 各階の形状、周囲の長さ、床面積と求積方法
原則の縮尺 500分の1 250分の1
作成の単位 一個の建物ごと(附属建物も合わせて一個) 同じ
所在の変更の登記 えい行移転なら提供する 提供しない
分割・合併の登記 提供する 床面積が変わらなくても提供する

建物図面と各階平面図は、一個の建物ごとに作成します。附属建物があるときは、主である建物と附属建物を合わせて一個の建物とします(規則81条)。

作成者と申請人の記名・署名

書面の図面には、作成の年月日を記録し、申請人が記名するとともに、作成者が署名し、又は記名押印します(規則74条2項)。この規定は土地所在図・地積測量図にも共通です。申請人は「記名」で足り、押印は求められていません。住所も記録事項ではありません。

保存期間と訂正の申出

保存期間の比較

保存期間は規則28条が定めています。

図面 保存期間
地図・地図に準ずる図面 永久(閉鎖したものを含む)
建物所在図 永久(閉鎖したものを含む)
土地所在図・地積測量図・建物図面・各階平面図 永久。閉鎖したものは閉鎖した日から30年間

登記所が備え付ける図面は閉鎖しても永久、申請で提供された図面は閉鎖すると30年、と覚えると混ざりません。

地図等の訂正の申出

地図に表示された土地の区画又は地番、地図に準ずる図面に表示された土地の位置、形状又は地番に誤りがあるときは、表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人が訂正の申出をすることができます(規則16条1項)。相続人は、相続による所有権の移転の登記を受けていなくても申出ができます。申出の期限はありません。

  • 土地の登記記録の地積に錯誤があるときは、申出は地積に関する更正の登記の申請と併せてしなければなりません(規則16条2項)。平成26年第5問イで○として出ています
  • 区画や形状の誤りでは、土地所在図又は地積測量図を提供します(同条5項)。地番だけの誤りなら要りません
  • 地図訂正申出情報は一の土地ごとに作成します。令和6年第6問イは、同一の登記所の管轄区域内の隣接する2筆なら一の申出情報でできるとして×でした

地積測量図の訂正の申出

地積測量図に誤りがあれば、訂正後の地積測量図を提供して訂正の申出ができます(規則88条1項・2項)。ただし、地積測量図を添付する表題部の更正の登記ができる場合は、申出はできません(同条1項ただし書)。求積方法の誤りで登記記録の地積も正しくないなら、地積の更正の登記によります。

試験で問われるポイント

  • 地図は「各土地の区画と地番」、地図に準ずる図面は「土地の位置、形状及び地番」を表示する(法14条2項・5項)
  • 地図の測量は基本三角点等が基礎で、例外はない。恒久的な地物に基づく座標値は地積測量図だけの例外(規則77条2項)
  • 地図の縮尺は、市街地250分の1・500分の1、村落・農耕地500分の1・1000分の1、山林・原野1000分の1・2500分の1
  • 地図には基本三角点等の「位置」を記録し、電磁的記録の地図には各筆界点の座標値を記録する
  • 地図・地図に準ずる図面・建物所在図は閉鎖しても永久。地積測量図・建物図面・各階平面図は閉鎖すると30年
  • 地図等の写しと閲覧は何人も請求でき、閉鎖されたものも同じ
  • 地積測量図は一筆ごと、建物図面・各階平面図は一個の建物ごとに作る
  • 書面の図面は、申請人が記名、作成者が署名又は記名押印

よくある引っかけ(過去問で×になった肢の型)

型 ×になった肢の例 正しくは
地積測量図の例外を地図に当てはめる 地図の測量は、基本三角点等がなければ恒久的な地物を基礎にできる(令和6年第6問ア) 地図に例外はない
記録事項を広げる 地図に基本三角点等の名称・座標値を記録する(令和5年第6問イ) 記録するのは位置
縮尺の地域を入れ替える 田・畑の地域の地図は2500分の1(平成26年第5問ウ) 500分の1又は1000分の1
請求できる人を絞る 地図の閲覧は利害関係人に限る(平成26年第5問オ) 何人もできる
閉鎖で請求不可にする 閉鎖された地図に準ずる図面は証明書面を請求できない(令和5年第6問エ) 閉鎖後も請求できる
一括を認める 隣接2筆の地図訂正を一の申出情報でできる(令和6年第6問イ) 土地ごとに作成する
併せて申請の要件を広げる 公差の範囲内でも地積更正と併せて申出する(令和5年第6問オ) 地積に錯誤があるときだけ
登記どおりの線を地図訂正で直す 誤った分筆線で登記された後、地図の訂正で分筆線を直せる(令和6年第6問オ) 地図は登記どおりで、誤りではない

図面の問題は、条文の言葉がそのまま肢になります。「区画」と「位置・形状」、「位置」と「座標値」、「永久」と「30年」のように、一語の違いで正誤が分かれるところを表で見比べてから、肢別の演習で確かめてください。

読んだあとに、今日の演習を

科目を選び、肢別演習で知識を確かめられます。

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