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表示に関する登記の申請義務と1か月の申請期間|土地家屋調査士試験

不動産登記法 読了 約15分

表示に関する登記の申請義務を、誰がいつから1か月以内に申請するかで整理。土地・建物の表題登記、地目・地積の変更、滅失、建物の表題部の変更と、義務のない更正・共用部分である旨の登記・住所変更の違い、10万円以下の過料まで過去問で確認します。

表示に関する登記の申請義務は、土地家屋調査士試験の不動産登記法で毎年のように肢として出てくる論点です。問われ方はほぼ決まっていて、「その登記に申請義務があるか」「義務を負うのは誰か」「1か月をいつから数えるか」の3点に集約されます。

結論を先に言うと、申請義務がある登記の期間はすべて1か月以内です。違うのは起算点と義務者だけです。そして、義務があるのは「現況が変わった」ときの登記で、「最初から誤っていた」ときの更正の登記や、所有者の意思でする登記には義務がありません。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象になります(不動産登記法164条1項)。

本記事では、条文と過去問の肢をもとに、申請義務のある登記・ない登記を表で整理し、最後に過去問で×になった肢の型をまとめます。以下、条文番号は特に断りのない限り不動産登記法です。

申請義務の全体像

なぜ表示に関する登記には申請義務があるのか

権利に関する登記は、原則として申請するかどうかが当事者に任されています。これに対して表示に関する登記は、不動産の物理的な現況を登記記録に反映させるための登記です。現況と登記記録がずれたままでは公示の役に立たないため、法は一定の登記について、所有者に1か月以内の申請を義務づけています。

同じ理由から、表示に関する登記は登記官が職権ですることもできます(28条)。ただし、申請義務がある登記で申請のないものを登記官が見つけたときは、直ちに職権で登記するのではなく、まず申請の義務がある者に申請を催告します(不動産登記事務取扱手続準則63条1項)。

申請義務がある登記の一覧

条文で1か月以内の申請義務が定められている主な登記は、次のとおりです。

登記 条文 義務を負う者 1か月の起算点
土地の表題登記 36条 新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者 所有権の取得の日
地目・地積の変更の登記 37条1項 表題部所有者又は所有権の登記名義人 変更があった日
同(変更後に名義人となった者) 37条2項 変更の後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者 その者に係る表題部所有者の更正の登記又は所有権の登記があった日
土地の滅失の登記 42条 表題部所有者又は所有権の登記名義人 滅失の日
建物の表題登記 47条1項 新築した者、区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者 所有権の取得の日
建物の表題部の変更の登記 51条1項 表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記等がある建物は所有者) 変更があった日
同(変更後に名義人となった者) 51条2項 変更の後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者 その者に係る表題部所有者の更正の登記又は所有権の登記があった日
建物の滅失の登記 57条 表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記等がある建物は所有者) 滅失の日
規約の廃止による建物の表題登記 58条6項・7項 規約を廃止した建物の所有者、廃止後に所有権を取得した者 規約の廃止の日、所有権の取得の日

164条1項は、これらの規定(36条、37条1項・2項、42条、47条1項、51条1項から4項、57条、58条6項・7項など)による申請をすべき義務がある者が、正当な理由がないのに申請を怠ったときは10万円以下の過料に処すると定めています。過料の対象は、申請義務を定めた条文と表裏の関係にあると理解しておくと整理しやすくなります。

土地の登記の申請義務

土地の表題登記(36条)

36条は、新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に表題登記を申請しなければならないと定めます。埋立地のように新たに生じた土地だけでなく、これまで登記されていなかった土地を取得した場合も含まれます。

ポイントは、義務を負うのが「いまの所有者」である点です。原始取得者が表題登記をしないまま土地を売却したときは、買主がその取得の日から1か月以内に申請します。

  • 表題登記がない土地の所有者Aが表題登記を申請しないまま土地をBに売ったときは、Bが取得の日から1か月以内に表題登記を申請しなければならない(平成26年 第7問ウ。正しい)

地目・地積の変更の登記(37条)

37条1項は、地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人が、その変更があった日から1か月以内に変更の登記を申請しなければならないと定めます。雑種地として登記された駐車場に建物を建てて宅地にした場合や、土地の一部が海没して面積が減った場合がこれに当たります。

義務を負うのは登記記録上の所有者で、土地を使っている人ではありません。賃借人や地上権者が土地を造成して宅地にしても、申請義務を負うのは表題部所有者又は所有権の登記名義人です。

37条2項は、変更があった後に名義人となった者の義務を定めています。この場合の1か月は、所有権を取得した日ではなく、その者に係る所有権の登記(又は表題部所有者についての更正の登記)があった日から数えます。

  • 雑種地として登記された土地の上に建物が新築されて宅地になった後に所有権の登記名義人となった者は、所有権の登記があった日から1月以内に地目の変更の登記を申請する義務を負う(令和元年 第16問ア。正しい)
  • 雑種地を賃借して建物を建て、宅地として利用を始めた後に所有権を取得したBは、自己に係る所有権の登記があった日から1か月以内に地目の変更の登記を申請しなければならない(平成26年 第7問オ。正しい)

地目の変更の登記の登記原因の日付は、現況が変わった日です。また、一筆の土地の一部が別の地目になったときは登記官が職権で分筆しなければなりませんが(39条2項)、それで所有者の地目の変更の登記の申請義務がなくなるわけではありません。

土地の滅失の登記(42条)

42条は、土地が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人が、その滅失の日から1か月以内に滅失の登記を申請しなければならないと定めます。起算点は「滅失の日」で、「滅失を知った日」ではありません。

  • 滅失の事実を知った日から1月以内に滅失の登記を申請しなければならない(令和元年 第6問ア。誤り)

なお、一筆の土地の一部だけが海面下に没したときは、土地はなお存在するので、滅失の登記ではなく地積の変更の登記をします。全部が没しても一時的な状態であれば、滅失の登記はしません。

建物の登記の申請義務

建物の表題登記(47条)

47条1項は、新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に表題登記を申請しなければならないと定めます。

ここで注意したいのが区分建物の扱いです。条文の「区分建物以外の」という限定により、新築された区分建物を原始取得者から買い受けた者や相続した者には、この義務がありません。区分建物を新築した者に相続その他の一般承継があったときは、相続人などは被承継人を表題部所有者とする表題登記を申請することが「できる」とされています(47条2項)。

  • 表題登記がない区分建物でない建物を、A、Bと順に相続したCは、所有者として表題登記を申請する義務を負う(令和元年 第16問ウ。正しい)
  • 区分建物を新築したAが死亡したとき、唯一の相続人Bは相続した日から1か月以内に表題登記を申請しなければならない(令和4年 第17問オ。誤り)

建物の表題部の変更の登記(51条)

51条1項は、建物の表題部の登記事項(家屋番号などを除く)に変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人が、変更があった日から1か月以内に変更の登記を申請しなければならないと定めます。増築で床面積が増えた、用途を変えて種類が変わった、附属建物を新築した、といった場面です。共用部分である旨の登記がある建物では、所有者が申請します。

変更の後に名義人となった者は、土地と同じく、その者に係る所有権の登記などがあった日から1か月以内です(51条2項)。さらに、変更の後に共用部分である旨の登記がされたときは、所有者は共用部分である旨の登記がされた日から1か月以内に申請します(同条3項)。

  • 区分建物の種類の変更後に所有権の登記名義人となった者は、その者に係る所有権の登記があった日から1か月以内に種類の変更の登記を申請しなければならない(平成26年 第16問ウ。正しい)
  • 区分建物の種類の変更後に共用部分である旨の登記がされたとき、所有者は規約を設定した日から1月以内に申請しなければならない(平成29年 第15問エ。誤り。共用部分である旨の登記がされた日から)

建物の所在の変更には、区別が必要です。敷地の分筆によって建物が所在する土地の地番が変わったときは、建物の所在が変わるので、所有権の登記名義人は所在の変更の登記を申請する義務を負います(令和元年 第16問エ。正しい)。これに対し、行政区画の変更があった場合は、登記記録に記録した行政区画について変更の登記があったものとみなされるので、申請義務はありません(令和元年 第16問オ。誤り)。

建物の滅失の登記(57条)

57条は、建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記等がある建物は所有者)が、滅失の日から1か月以内に滅失の登記を申請しなければならないと定めます。

義務を負うのは、その建物の登記記録上の所有者です。土地の所有者は、自分の土地の上にある他人の建物が滅失しても、申請義務を負いません。売買の後、所有権の移転の登記をする前に建物が滅失したときは、登記記録上の所有者である売主が申請できます。

  • A所有の土地の上にあるB名義の建物が取り壊されたとき、Aは滅失の日から1か月以内に建物の滅失の登記を申請しなければならない(平成26年 第7問イ。誤り。義務を負うのはB)
古家付きの土地を売った後に家を取り壊し、売主が滅失の登記を申請している場面。
移転の登記の前なら、登記記録上の所有者である売主が滅失の登記を申請する。

合体による登記等と規約の廃止による表題登記

建物が合体して1個の建物となった場合の合体による登記等にも、1か月以内の申請義務があります。過去問では、表題登記がある所有権の登記がない建物どうしが合体したとき、表題部所有者は合体の日から1月以内に合体による登記等を申請しなければならないとする肢が正しいとされています(平成29年 第15問ウ)。合体後に名義人となった者は、その者に係る所有権の登記があった日から数えます(平成28年 第15問ア。正しい)。

共用部分である旨の登記がある建物について、共用部分とする規約を廃止したときは、建物の所有者は規約の廃止の日から1か月以内に建物の表題登記を申請しなければなりません(58条6項)。廃止の後に所有権を取得した者は、その取得の日から1か月以内です(同条7項)。団地共用部分である旨の登記がある建物でも同じです(令和3年 第18問ウ。正しい)。

申請義務がない登記

変更には義務があり、更正には義務がない

試験で最もよく狙われるのが、「変更」と「更正」の区別です。37条と51条が義務を課しているのは、登記の後に現況が変わったときの変更の登記です。登記をした当初から誤っていたときの更正の登記には、申請期間の定めがありません。

左に増築が終わった家とカレンダー、右に測り直して元からの誤りに気づく場面を並べた絵。
変更の登記には1か月以内の申請義務があり、更正の登記には申請義務がない。

地積の更正の登記も、建物の床面積の更正の登記も、「誤りを知った日から1か月以内」という義務はありません。この形の肢は繰り返し出題されています。

所有者の意思でする登記にも義務がない

次の登記は、現況の変化を反映するものではなく、所有者の意思や規約によってする登記なので、申請義務の規定がありません。

登記 申請義務 試験での扱い
地積・床面積など表題部の更正の登記 なし 誤りを知った日から1か月以内とする肢は誤り
共用部分である旨の登記 なし 規約を定めた日から1か月以内とする肢は誤り。登記官が職権ですることもない
表題部所有者の氏名・住所の変更の登記 なし 変更の日から1か月以内とする肢は誤り
分筆・合筆の登記 なし 申請できるのは表題部所有者又は所有権の登記名義人だけ(39条1項)
建物の分割・合併の登記 なし 所有者の意思でする登記
地図訂正の申出 なし 申出は「することができる」もので、期間の定めもない

表題部所有者の住所の変更の登記は、地目や床面積の「変更の登記」と名前が似ているため、混同を誘う肢が作られます。人の表示の変更には義務がなく、物の現況の変更には義務がある、と区別してください。

1か月の起算点を整理する

期間はすべて1か月で同じなので、試験では起算点の入れ替えで肢が作られます。

三つの場面それぞれの上にカレンダーが浮かび、数え始めの日が違うことを示した絵。
1か月の数え始めは、取得の日、変更の日、名義人となった日と登記ごとに違う。
場面 起算点 よくある誤りの形
表題登記(土地・建物) 所有権の取得の日 前所有者が申請するとする
地目・地積、建物の表題部の変更 変更があった日 用途変更の工事の完了日から後の取得者が数える
変更後に名義人となった者 その者に係る所有権の登記などがあった日 所有権の取得の日から数える
変更後に共用部分である旨の登記 共用部分である旨の登記がされた日 規約を設定した日から数える
滅失(土地・建物) 滅失の日 滅失を知った日から数える
規約の廃止による表題登記 規約の廃止の日、廃止後の取得者は取得の日 義務がないとする

変更後に名義人となった者の起算点が「所有権の登記があった日」とされているのは、登記名義人になる前の者に義務を課すことができないからです。区分建物の床面積が増えた後に区分建物を取得した者が、所有権の移転の登記をする前から変更の登記の申請義務を負うとする肢は誤りとされています(平成25年 第16問オ)。

試験で問われるポイント

  • 申請義務がある表示に関する登記の期間は、すべて1か月以内
  • 義務を負うのは登記記録上の所有者(表題部所有者又は所有権の登記名義人)。賃借人や土地の所有者ではない
  • 表題登記は所有権の取得の日、変更は変更があった日、滅失は滅失の日から数える
  • 変更後に名義人となった者は、その者に係る所有権の登記などがあった日から数える
  • 区分建物を買い受けた者・相続した者には、47条1項の表題登記の義務がない
  • 更正の登記、共用部分である旨の登記、表題部所有者の住所の変更、分筆・合筆、建物の分割・合併には申請義務がない
  • 規約の廃止による建物の表題登記には、規約の廃止の日から1か月以内の義務がある
  • 正当な理由なく申請を怠った義務者は、10万円以下の過料(164条1項)

よくある引っかけ

過去問で×になった肢は、次の型に集約されます。

  • 更正に義務を付ける型:「地積が誤っていることを知った日から1か月以内に地積の更正の登記を申請しなければならない」(平成26年 第9問ア、令和4年 第7問ア)。床面積でも同じ形で出ています(平成30年 第12問ア)
  • 更正を後の取得者にずらす型:「地積の誤りが判明した後に名義人となった者は、所有権の登記があった日から1か月以内に更正の登記を申請しなければならない」(令和6年 第7問オ)。起算点の形を借りても、更正に義務はない
  • 共用部分である旨の登記に義務を付ける型:「規約を定めた日から1か月以内に共用部分である旨の登記を申請しなければならない」(平成26年 第7問ア、平成27年 第17問イ、令和5年 第17問ア、令和7年 第15問イ)
  • 住所変更に義務を付ける型:「表題部所有者の住所に変更があった日から1か月以内に変更の登記を申請しなければならない」(平成26年 第7問エ、令和3年 第8問オ)
  • 起算点を「知った日」にする型:「土地が滅失した事実を知った日から1月以内」(令和元年 第6問ア)
  • 義務者をすり替える型:土地の所有者に、その上の他人の建物の滅失の登記の義務を負わせる(平成26年 第7問イ)
  • 区分建物に47条1項を当てはめる型:区分建物を相続した者に、相続した日から1か月以内の表題登記の義務を負わせる(令和4年 第17問オ)
  • 行政区画の変更に義務を付ける型:行政区画の変更で建物の所在が変わったときに、所在の変更の登記の義務を負わせる(令和元年 第16問オ)
  • 地図訂正の申出に義務を付ける型:地図の誤りを発見した日から1月以内に地図訂正の申出をしなければならない(令和7年 第4問ア)

肢を読むときは、まず「変更か、更正か、所有者の意思でする登記か」で義務の有無を判定し、次に義務者と起算点を確認する、という順番で処理すると速く正確に解けます。

よくある質問

申請義務を怠ると必ず過料になりますか

164条1項は、申請をすべき義務がある者が「正当な理由がないのに」申請を怠ったときに10万円以下の過料に処すると定めています。また、登記官は申請のない登記を見つけても直ちに職権で登記せず、まず義務者に申請を催告します(準則63条1項)。試験では、過料の上限額よりも、どの登記に義務があるかの判断が中心に問われます。

分筆の登記には申請義務がありますか

ありません。分筆・合筆の登記は所有者の意思でする登記で、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は申請できません(39条1項)。ただし、一筆の土地の一部が別の地目となったときは、登記官が職権で分筆しなければならず(39条2項)、所有者には地目の変更の登記の申請義務が残ります。

読んだあとに、今日の演習を

科目を選び、肢別演習で知識を確かめられます。

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