第22条分離処分の禁止過去問 11
1敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。
3前二項の規定は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合に準用する。
この条文の過去問 11問
一棟の建物に属する区分建物全部についての表題登記を申請する場合において、そのうちの一部の区分建物についてのみ専有部分とその専有部分に係る敷地利用権の分離処分を可能とする規約が設定されているときは、他の区分建物についてのみ敷地権に関する事項を申請情報とする当該登記の申請をすることができる。
分離処分できる規約がある部屋には敷地権がなく、ほかの部屋だけ敷地権を申請情報にできる。
解説
正しい。分離処分を可能とする規約がある区分建物には敷地権がないので、他の区分建物についてだけ敷地権に関する事項を申請情報とすることができる。
【ひっかけ】一棟の建物の区分建物は一括して表題登記を申請するので、敷地権も全部の区分建物でそろえなければならないように見える。
【条文】不動産登記規則119条「当該敷地権が一棟の建物に属する一部の建物についての敷地権であるときは、当該一部の建物の家屋番号」
敷地権は、登記された敷地利用権のうち、専有部分と分離して処分することができないものをいう(法44条1項9号)。分離処分の禁止は、規約に別段の定めがあるときは外れる(区分所有法22条1項ただし書)。一部の区分建物についてだけ分離処分を可能とする規約があるときは、その区分建物には敷地権がなく、他の区分建物にだけ敷地権がある。規則も、敷地権が一棟の建物に属する一部の建物についての敷地権である場合を予定している(規則119条1項4号)。
【ポイント】敷地権があるかどうかは、区分建物ごとに「分離処分ができないか」で決まる。
区分建物の表題登記を申請する場合において、規約により専有部分と敷地利用権との分離処分を可能とする旨を定めたことにより地上権が当該区分建物の敷地権とならないときであっても、その敷地利用権が地上権であり、かつ、当該区分建物が属する一棟の建物の敷地について登記された地上権の登記名義人が当該区分建物の所有者であるときは、添付情報として、当該規約の定めを証する情報を提供することを要しない。
規約の定めで敷地権とならないときは、地上権でも規約を証する情報を提供する。
解説
誤り。敷地利用権が地上権であっても、登記された地上権の登記名義人が区分建物の所有者であり、規約の定めにより敷地権とならないときは、その事由を証する情報として規約の定めを証する情報を提供しなければならない。
【ひっかけ】所有権が敷地権とならない場合の規定と覚えていて、地上権なら不要と思わせる作り方。令別表12の項の規定は、所有権・地上権・賃借権を並べている。
【条文】建物の区分所有等に関する法律22条「ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。」
【根拠】不動産登記令別表12の項 添付情報欄ホ(建物の表題登記)「建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物が属する一棟の建物の敷地(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第五項に規定する建物の敷地をいう。以下同じ。)について登記された所有権、地上権又は賃借権の登記名義人が当該区分建物の所有者であり、かつ、区分所有法第二十二条第一項ただし書(同条第三項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規約における別段の定めがあることその他の事由により当該所有権、地上権又は賃借権が当該区分建物の敷地権とならないときは、当該事由を証する情報」
区分建物が属する一棟の建物の敷地について登記された所有権、地上権又は賃借権の登記名義人が当該区分建物の所有者であり、かつ、区分所有法22条1項ただし書の規約における別段の定めがあることその他の事由によりその権利が敷地権とならないときは、当該事由を証する情報を提供しなければならない(令別表12の項添付情報欄ホ)。地上権もこの規定に挙げられている。規約で分離処分を可能とした場合には、その規約の定めを証する情報がこれに当たる。本試験では、平成27年度にも、所有権が敷地権とならない場合に規約の定めを証する情報を提供しなければならないとする肢が正しいものとして、令和2年度にも、提供を要しないとする肢が誤りとして出題されている。
【ポイント】所有権・地上権・賃借権のどれでも、登記された敷地利用権が規約で敷地権とならないなら、規約の定めを証する情報が要る。
【出典】不動産登記令別表12の項 添付情報欄ホ(建物の表題登記) https://laws.e-gov.go.jp/law/416CO0000000379 / 本試験 平成27年度 第16問 肢ア(公式正解は「正しい」) / 本試験 令和2年度 第14問 肢エ(公式正解は「誤り」)
Aは、甲土地及び乙土地のAの共有持分権を敷地権として、表題登記がない丁区分建物について表題登記を申請することはできない。
一棟の建物が所在する甲土地・乙土地は法定敷地なので、Aの持分を敷地権として表題登記を申請できる。
解説
誤り。Aは、甲土地及び乙土地のAの共有持分権を敷地権として、表題登記がない丁区分建物の表題登記を申請することができる。
【ひっかけ】丁区分建物は甲土地の上にしかないので、乙土地の持分は丁区分建物の敷地権にならないように見せる肢。一棟の建物が甲土地と乙土地にまたがって建っているので、両方が建物の敷地である。
【条文】建物の区分所有等に関する法律2条「この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。」
【条文】建物の区分所有等に関する法律22条「敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。」
区分所有法の「建物の敷地」は、建物が所在する土地と規約により建物の敷地とされた土地をいう(区分所有法2条5項)。丁区分建物と戊区分建物が属する一棟の建物は甲土地と乙土地の上にあるので、両方の土地が規約なしに建物の敷地になる。敷地利用権が数人で有する所有権である場合、分離処分可能規約が無ければ専有部分と分離して処分できない(区分所有法22条1項)ので、Aの甲土地・乙土地の共有持分権は丁区分建物の敷地権となり、敷地権は区分建物の表題部の登記事項である(法44条1項9号)。なお、丁区分建物の表題登記は戊区分建物の表題登記と併せて申請し、AはBに代わって戊区分建物の分も申請できる(法48条1項・2項)。
【ポイント】法定敷地は「一棟の建物」が所在する土地で決まる。専有部分の真下の土地かどうかではない。
丁区分建物及び戊区分建物の表題部に甲土地及び乙土地に係る敷地権が登記されている場合には、Aは、丁区分建物についてのみ甲土地及び乙土地の敷地利用権との分離処分可能規約を設定したことを証する情報を提供して、丁区分建物についてのみ甲土地及び乙土地に係る敷地権の登記を抹消する表題部の変更の登記を申請することができる。
丁区分建物についてだけ分離処分可能規約を設定すれば、その敷地権だけを抹消する表題部の変更の登記ができる。
解説
正しい。丁区分建物についてのみ甲土地及び乙土地の敷地利用権との分離処分可能規約を設定したときは、Aは、それを証する情報を提供して、丁区分建物についてのみ敷地権の登記を抹消する表題部の変更の登記を申請することができる。
【ひっかけ】敷地権は一棟の建物の敷地について生じるので、丁区分建物だけを敷地権の無い建物にすることはできないように見せる肢。区分所有法22条1項は区分所有者が「その有する専有部分」と「その専有部分に係る敷地利用権」を分離処分することを禁じ、ただし書で規約の別段の定めを認めており、一部の専有部分だけを対象とすることを妨げる定めは無い。
【条文】建物の区分所有等に関する法律22条「ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。」
【条文】不動産登記法51条「当該変更があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。」
【根拠】不動産登記令 別表15の項(敷地権の発生若しくは消滅を原因とする建物の表題部の変更の登記)添付情報欄ハ「区分所有法第二十二条第一項ただし書の規約における別段の定めがあることその他の事由により区分所有者の有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができることとなったときは、当該事由を証する情報」
区分所有者は専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができないが、規約に別段の定めがあるときはこの限りでない(区分所有法22条1項)。同項は「その有する専有部分」と「その専有部分に係る敷地利用権」の分離処分を禁じる形で書かれ、一部の専有部分だけを対象とする規約を妨げる定めは無いので、規約で丁区分建物についてだけ分離処分を可能とすれば、丁区分建物の敷地利用権は敷地権でなくなる。敷地権の消滅は表題部の登記事項の変更なので、Aは表題部の変更の登記を申請する(法51条1項)。この場合の添付情報として、令別表15の項は、区分所有法22条1項ただし書の規約における別段の定めがあることを証する情報を挙げている。
【出典】不動産登記令 別表15の項(敷地権の発生若しくは消滅を原因とする建物の表題部の変更の登記)添付情報欄ハ https://laws.e-gov.go.jp/law/416CO0000000379
甲土地のAの共有持分権に丁区分建物の敷地権である旨の登記がされている場合において、当該敷地権である旨の登記がされた後の売買を原因とする当該共有持分権の移転の登記をしようとするときは、その前提として、当該共有持分権に係る敷地権の登記を抹消する丁区分建物の表題部の変更の登記をすることを要しない。
敷地権である旨の登記の後の売買で持分を移すには、先に敷地権を抹消する表題部の変更の登記をする。
解説
誤り。敷地権である旨の登記がされた後の売買を原因として甲土地のAの共有持分権の移転の登記をしようとするときは、その前提として、敷地権の登記を抹消する丁区分建物の表題部の変更の登記をしなければならない。
【ひっかけ】土地の登記記録の甲区に共有持分権が登記されているので、土地だけで持分の移転の登記ができるように見せる肢。敷地権である旨の登記がある土地には、敷地権の移転の登記はできない。
【条文】不動産登記法73条「第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。」
【条文】不動産登記法73条「ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)」
法73条2項本文は、敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記をすることができないと定めている。ただし書は、土地が敷地権の目的となった後に登記原因が生じたものを除外しているが、分離処分禁止の場合はさらに除かれる。分離処分可能規約が無いまま敷地権である旨の登記がされているので、その後の売買を原因とする持分の移転の登記は、この規定のままではできない。土地の持分だけを移転するには、分離処分可能規約を設定するなどして敷地権を消滅させ、丁区分建物の表題部の変更の登記で敷地権の登記を抹消した後に、移転の登記をすることになる。
【ポイント】敷地権である旨の登記がある土地には、原則として敷地権の移転の登記はできない(法73条2項)。先に敷地権を消して表題部の変更の登記をする。
名称のある一棟の建物に属する区分建物の表題登記を申請する場合において、当該一棟の建物の名称を申請情報の内容とするときは、当該一棟の建物の名称を定めた規約を設定したことを証する情報を提供しなければならない。
一棟の建物の名称を申請情報とするときに、名称を定めた規約の証明は要らない。
解説
誤り。一棟の建物の名称を申請情報の内容とするときに、その名称を定めた規約を設定したことを証する情報を提供する必要は無い。
【ひっかけ】区分建物の表題登記では規約敷地や敷地権の割合を定めた規約を証する情報が求められることがあるので、名称にも規約が要るように見せる肢。
【条文】不動産登記法44条「建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称」
【根拠】不動産登記令別表12の項 添付情報欄ヘ「(1) 敷地権の目的である土地が区分所有法第五条第一項の規定により建物の敷地となった土地であるときは、同項の規約を設定したことを証する情報(2) 敷地権が区分所有法第二十二条第二項ただし書(同条第三項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規約で定められている割合によるものであるときは、当該規約を設定したことを証する情報」
建物又は附属建物が区分建物である場合で、一棟の建物の名称があるときは、その名称が登記事項になる(法44条1項8号)。区分建物の表題登記の添付情報で規約を設定したことを証する情報が求められるのは、敷地権の目的である土地が規約により建物の敷地となった土地であるときと、敷地権の割合が規約で定められているときである(令別表12の項添付情報欄ヘ)。一棟の建物の名称を定めた規約を設定したことを証する情報は、同欄に掲げられていない。
【ポイント】区分建物の表題登記で規約の証明が要るのは、規約敷地と規約で定めた敷地権の割合。名称には要らない。
【出典】令和3年度 第12問の解説ノート(一棟の建物の名称の登記に規約設定を証する情報は不要) https://note.com/cool_lilac6617/n/n1d7ca8be5021 / 不動産登記令別表12の項 添付情報欄ヘ https://laws.e-gov.go.jp/law/416CO0000000379
主である建物と附属建物がいずれも同一の一棟の建物を区分した敷地権がある区分建物である場合において、当該主である建物及び当該附属建物の表題登記を申請するときは、主である建物に係る敷地権と附属建物に係る敷地権とを区別してしなければならない。
主である建物と附属建物がどちらも敷地権のある区分建物なら、敷地権を区別して申請情報に書く。
解説
正しい。主である建物と附属建物がいずれも同一の一棟の建物に属する敷地権のある区分建物であるときは、表題登記の申請で、主である建物に係る敷地権と附属建物に係る敷地権とを区別しなければならない。
【ひっかけ】主である建物と附属建物は一個の建物として登記され、同じ一棟の建物に属するので、敷地権もまとめて一つに表示すれば足りるように見せている。
【条文】建物の区分所有等に関する法律22条「区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。」
【根拠】不動産登記令別表12の項 申請情報欄イ「建物又は附属建物について敷地権が存するときは、次に掲げる事項(1) 敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目及び地積(2) 敷地権の種類及び割合(3) 敷地権の登記原因及びその日付」
建物の表題登記を申請する場合において、建物又は附属建物について敷地権が存するときは、敷地権の目的となる土地の所在・地番・地目・地積、敷地権の種類及び割合、敷地権の登記原因及びその日付を申請情報の内容とする(令別表12の項申請情報欄イ)。区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は区分所有法14条1項から3項までに定める割合による(区分所有法22条2項)。主である建物と附属建物がそれぞれ専有部分であれば、それぞれに係る敷地権の割合があるので、両者を区別して申請情報の内容とする。本試験では、平成26年度にも同じ内容の肢が正しいものとして、令和4年度には登記記録の表題部にも区別して記録するとする肢が正しいものとして出題されている。
【出典】不動産登記令別表12の項 申請情報欄イ https://laws.e-gov.go.jp/law/416CO0000000379 / 本試験 平成26年度 第16問 肢イ(公式正解は「正しい」) / 本試験 令和4年度 第14問 肢イ(公式正解は「正しい」)
三個の区分建物で構成される一棟の建物に属する区分建物についての表題登記を申請する場合において、一個の区分建物についてのみ専有部分とその専有部分に係る敷地利用権の分離処分を可能とする規約が設定されているときは、他の二個の区分建物についてのみ敷地権に関する事項を申請情報の内容とすることができる。
分離処分可能規約がある部屋は敷地権にならないので、他の部屋だけ敷地権を申請情報にして表題登記ができる。
解説
正しい。一個の区分建物についてのみ分離処分を可能とする規約があるときは、他の二個の区分建物についてのみ敷地権に関する事項を申請情報の内容として表題登記を申請することができる。
【条文】建物の区分所有等に関する法律22条「区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。」
【根拠】不動産登記令別表12の項 添付情報欄ホ(建物の表題登記)「区分所有法第二十二条第一項ただし書(同条第三項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規約における別段の定めがあることその他の事由により当該所有権、地上権又は賃借権が当該区分建物の敷地権とならないときは、当該事由を証する情報」
敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合、区分所有者は専有部分と敷地利用権を分離して処分することができないが、規約に別段の定めがあるときはこの限りでない(区分所有法22条1項)。敷地権は、分離して処分することができない敷地利用権をいう(法44条1項9号)ので、規約で分離処分が可能とされた一個の区分建物の敷地利用権は敷地権にならず、他の二個の区分建物の敷地利用権は敷地権になる。分離処分を可能とする規約の定めにより敷地権とならないときは、その事由を証する情報を添付情報として提供する(令別表12の項添付情報欄ホ)。本試験では、令和7年度にも、一部の区分建物についてのみ分離処分を可能とする規約があるときは他の区分建物についてのみ敷地権に関する事項を申請情報とすることができるとする肢が正しいものとして出題されている。
【出典】不動産登記令別表12の項 添付情報欄ホ(建物の表題登記) https://laws.e-gov.go.jp/law/416CO0000000379 / 本試験 令和7年度 第13問 肢オ(公式正解は「正しい」)
いずれも敷地権付き区分建物である甲区分建物と乙区分建物とを合体し、合体後の建物も敷地権付き区分建物となる場合において、合体前の甲区分建物と乙区分建物のそれぞれの敷地権の割合を合算したものが、合体後の建物の敷地権の割合となるときは、敷地権の割合に係る規約を設定したことを証する情報を提供することを要しない。
合体前の敷地権の割合を合算した割合が合体後の割合になるなら、規約を設定したことを証する情報は要らない。
解説
正しい。合体前の敷地権の割合を合算したものが合体後の建物の敷地権の割合となるときは、敷地権の割合に係る規約を設定したことを証する情報の提供は要しない。
【ひっかけ】合体後の建物に敷地権が存するときは規約を設定したことを証する情報などを提供する(令別表13の項添付情報欄ヘ)という原則だけを見ると、提供が必要に見える。
【条文】建物の区分所有等に関する法律22条「ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。」
【根拠】不動産登記令 別表十三の項(合体による登記等)添付情報欄ヘ「ヘ 合体後の建物について敷地権が存するとき(合体前の二以上の建物がいずれも敷地権付き区分建物であり、かつ、合体後の建物も敷地権付き区分建物となるとき(合体前の建物のすべての敷地権の割合を合算した敷地権の割合が合体後の建物の敷地権の割合となる場合に限る。)を除く。)は、次に掲げる情報」
【根拠】不動産登記令 別表十三の項(合体による登記等)添付情報欄ヘ(2)「(2) 敷地権が区分所有法第二十二条第二項ただし書の規約で定められている割合によるものであるときは、当該規約を設定したことを証する情報」
合体による登記等で合体後の建物に敷地権が存するときは、敷地権が区分所有法22条2項ただし書の規約で定められている割合によるものであれば、その規約を設定したことを証する情報を提供する(令別表13の項添付情報欄ヘ(2))。ただし、同欄ヘは、合体前の二以上の建物がいずれも敷地権付き区分建物で、合体後の建物も敷地権付き区分建物となり、合体前のすべての敷地権の割合を合算した割合が合体後の建物の敷地権の割合となる場合を除いている。本肢はこの除かれた場合に当たる。本試験では、令和2年度に、この場合でも規約を設定したことを証する情報を提供しなければならないとする肢が誤りとして出題されている。
【出典】不動産登記令 別表十三の項(合体による登記等)添付情報欄ヘ https://laws.e-gov.go.jp/law/416CO0000000379 / 不動産登記令 別表十三の項(合体による登記等)添付情報欄ヘ(2) https://laws.e-gov.go.jp/law/416CO0000000379 / 本試験 令和2年度 第14問 肢オ(公式正解は「誤り」)
区分建物の表題登記を申請する場合において、当該区分建物が属する一棟の建物の敷地について登記された所有権の登記名義人が当該区分建物の所有者であり、かつ、規約においてその専有部分と敷地利用権との分離処分を可能とする旨を定めたことにより当該所有権が当該区分建物の敷地権とならないときは、添付情報として、当該規約の定めを証する情報を提供しなければならない。
規約で敷地権にならないときは、その事由を証する情報として規約の定めを証する情報を出す。
解説
正しい。一棟の建物の敷地の所有権の登記名義人が区分建物の所有者で、規約の別段の定めによりその所有権が敷地権とならないときは、その事由を証する情報として規約の定めを証する情報を提供する。
【条文】建物の区分所有等に関する法律22条「区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。」
【根拠】不動産登記令 別表十二の項(建物の表題登記)添付情報欄ホ「ホ 建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物が属する一棟の建物の敷地(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第五項に規定する建物の敷地をいう。以下同じ。)について登記された所有権、地上権又は賃借権の登記名義人が当該区分建物の所有者であり、かつ、区分所有法第二十二条第一項ただし書(同条第三項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規約における別段の定めがあることその他の事由により当該所有権、地上権又は賃借権が当該区分建物の敷地権とならないときは、当該事由を証する情報」
区分建物の表題登記で、一棟の建物の敷地について登記された所有権、地上権又は賃借権の登記名義人が区分建物の所有者であり、かつ、区分所有法22条1項ただし書の規約における別段の定めがあることその他の事由によりその権利が敷地権とならないときは、その事由を証する情報を提供する(令別表12の項添付情報欄ホ)。規約で分離処分を可能としたことにより所有権が敷地権とならない本肢は、これに当たる。本試験では、令和2年度に、この場合に規約の定めを証する情報の提供を要しないとする肢が誤りとして出題されている。
【出典】不動産登記令 別表十二の項(建物の表題登記)添付情報欄ホ https://laws.e-gov.go.jp/law/416CO0000000379 / 本試験 令和2年度 第14問 肢エ(公式正解は「誤り」)
附属建物のある敷地権付き区分建物の表題登記を申請する場合において、当該附属建物が同一の一棟の建物に属する区分建物であるときは、敷地権の表示として、主である建物に係る敷地権と附属建物に係る敷地権とを区別して、申請情報の内容としなければならない。
主である建物と附属建物は別の専有部分なので、敷地権もそれぞれに分けて申請情報に書く。
解説
正しい。主である建物と附属建物が同一の一棟の建物に属する敷地権付き区分建物の表題登記では、主である建物に係る敷地権と附属建物に係る敷地権とを区別して申請情報の内容とする。
【根拠】不動産登記令 別表十二の項(建物の表題登記)申請情報欄イ「イ 建物又は附属建物について敷地権が存するときは、次に掲げる事項(1) 敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目及び地積(2) 敷地権の種類及び割合(3) 敷地権の登記原因及びその日付」
建物の表題登記を申請する場合において、建物又は附属建物について敷地権が存するときは、敷地権の目的となる土地の表示、敷地権の種類及び割合、敷地権の登記原因及びその日付を申請情報の内容とする(令別表12の項申請情報欄イ)。区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、区分所有法14条1項から3項までに定める割合による。規約でこれと異なる割合を定めたときは、その割合による(区分所有法22条2項)。主である建物と附属建物はそれぞれ専有部分なので、それぞれに係る敷地権の割合がある。そのため、両者を区別して申請情報の内容とする。本試験では、令和2年度にも同じ内容の肢が、令和4年度には登記記録の表題部にも区別して記録するとする肢が、いずれも正しいものとして出題されている。
【出典】不動産登記令 別表十二の項(建物の表題登記)申請情報欄イ https://laws.e-gov.go.jp/law/416CO0000000379 / 本試験 令和2年度 第13問 肢ウ(公式正解は「正しい」) / 本試験 令和4年度 第14問 肢イ(公式正解は「正しい」)